「くじけないで」
がまぐち
毎年お正月が来ると
思い出すの
当時 小学生だった倅が
納豆売りをして
買ってくれた 大きながまぐち
母ちゃんへ お年玉だよって
私に贈ってくれたの
かじかんだ小さな手
吐く息の白さ
弾けるような笑顔
私は忘れない
がまぐちは 今でも私の宝物
お金は貯まらなかったけれど
やさしさは 今でも たくさん入っている
昨年の年末、NHKで「99歳の詩人 心を救う言葉」という番組が放送された。
暇にまかせて、チャンネルを回していて偶然に見つけた番組だが、親不孝な我が身ゆえに、「がまぐち」に嗚咽してしまった。
もう直ぐ100歳になる、柴田トヨさんの詩集「くじけないで」。
どの詩も、可愛くて愛に溢れていて心に響くます。
「人生、いつだってこれから。だれにも朝はかならずやってくる」
いや~ホント心に沁みます。
倅に
何か
つれぇことがあったら
母ちゃんを 思い出せ
誰かに
あたっちゃあ だめだ
あとで 自分が
嫌になる
ほら 見てみなせ
窓辺に
陽がさしてきたよ
鳥が 啼いているよ
元気だせ 元気だせ
鳥が 啼いているよ
聞こえるか 健一